沙弥の繰り言(231)

 先日、小さな夏のミステリーを体験しました。
 夏ボケだったのかもしれません。

 産経新聞に著名人を紹介する「話の肖像画」というコーナーがあり、8月15日は渡辺京二氏が紹介されていました。
 「逝きし世の面影」(訪日外国人が残した膨大な史料にあたり、幕末〜明治前期における古き良き日本人像を描出・論考したこの大著は、平成17年に平凡社ライブラリーに収められて以来、38刷・約16万部を数えるロングセラーとなっている。記事より)の著者として、ご存知の方が多いと思います。
 私も、事務所に向かう途中この本の紹介コメントを聞き、買い求めた一人です。

 拙著「日本の文化とコンピュータ」を書き始めていたのですが、内容に関係ある本がたくさん紹介されていたのでずいぶんと参考にさせてもらいました。
 神田神保町の古書店街を歩き回ったことや、高額なものは明治大学の図書館で閲覧したことなどを思い出します。

 ミステリーの話しに入りますが、8月15日は連載の2回目だったので、「初回を」と前日の新聞をめくったのですが、このコーナーが見つかりません。
 何度か捜しましたが、ありませんでした。
 確か、13日は新聞休刊日だったので、「何かあったのかもしれない」と思いその日はそこで終え、次の日の3回目を読みましたが、どうもすっきりしません。
 再び14日の新聞をめくってみましたが、見つからないので数日さかのぼって調べたりしました。

 くどくどとこんな話しを聞いてもつまらないと思うので、実は4回目もちょっとしたことがあったのですが、捜すことができなかった理由を言うと、初回のこのコーナーがいつもの場所、紙面の下部、ではなく、最上部に設けられていたので見つけることができなかったのです。

 こんな簡単なことだったのですが、「思い込み」というのは間違った結果を出す、場合によっては恐ろしいことになる可能性もあるということを痛感しました。

 話は変わりますが、このコーナーで渡辺氏は「われわれにとって江戸時代は、帰りたくても帰れない異文化です。茶の湯をはじめ、表面的には『江戸』を伝える文化は多いけれども、現代人と江戸を生きた人たちとでは心の構造が違っています」と語っています。
 そして、歴史には「もし」はないと前置きした上で、「大政奉還後の旧幕府勢力が政権を担当する可能性もありました。その場合、西洋化を推進するにしても伝統と断絶した急激な『維新』ではなく、さまざまな伝統に基づいた改革を可能にしたのではないでしょうか」とも述べておられます。

 そうだとしたら「もったいないことをした」と言えるのかもしれませんが、ifはありません。 
 しかし、いま来日されている人たちから、「珍しいだけ」「うわべだけだ」と見抜かれるようなら論外ですが、日本文化の本質に触れたことでリスペクトされるようなら、「古き良き時代に生きた日本人の火種を持った人たちが、大勢いる証拠になる」と私は思っています。

 大河ドラマ「西郷どん」が毎週日曜日(再放送は土曜日)にNHKで放送されていますが、「大政奉還」から「王政復古」に変わっていく場面が、そろそろ出てくる頃だと思います。

 


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