沙弥の繰り言(233)

 このところ、AIに絡んだTV番組が多くなった気がします。
 私が見ただけでも10月は、「マネーワールド」「AIに聞いてみた」「マリオ」と続きましたが、「マネーワールド 資本主義の未来 第2集、仕事がなくなる!?」は、骨太な内容だと思いました。

 ホスト役は爆笑問題の田中・太田の両氏、ゲストは国立情報学研究所教授の新井紀子氏とソフトバンクグループ社長の孫正義氏。
 爆笑問題のお二人や孫氏については改めての紹介は必要ないと思いますが、新井氏について、ご存知でしょうが念のため、少し案内させていただくと、MARCHに合格するレベルにはなっていたのですが、読解力の不足で東大入試の突破を諦めたAI「東ロボくん」の育ての親です。
 それを機に、「子どもたちはどうだろうか」と調査をされ、著書「AIvs教科書が読めない子どもたち」では、文章読解力が低下しているという結果を発表、世間に衝撃を与えている方です。

 AIロボットと言うと礼賛する雰囲気が感じられる中、断念という結論をあえて出されたことに関心を持ち、ここでその発表記事を紹介させてもらった覚えがあります。

 話を戻しますが、番組の前半ではさまざまなAI・AIロボットの紹介や「2030年までに最大52%の作業が自動化される可能性がある」という予測や、自動化が予想される職業の一覧表が掲げられたりします。
 さらに、大手銀行が「店舗2割削減へ。1.9万人削減」「4,000人分の業務量を削減。2019年度まで」「9,500人分の業務量を削減。2023年度まで」と次々に発表したこと、また該当する銀行の方だと思いますが、コンサルタントを養成するところで学んでいる様子などが紹介されてました。

 後半は、蒸気機関の第1次から、AI・ロボットの第4次産業革命までの経緯が要領よく紹介され、「AI・ロボットを持つ人に富が集中する」「ほとんどの人はその分け前にありつけないだろう」というコメントが流れます。
 すかさず新井氏が「世界の大金持ち8人が、世界の半分の人のお金を持っている」「国家が再分配の機能を果たせなくなってきている」などと話すと、孫氏が「進化していく世の中を、悲しいと思うか楽しいと思うか、チャンス到来と思うかで結果は全然違う。個人にとっても企業にとっても、国家にとってもそうなのではないだろうか」と発言、すると太田氏が「それは成功者の弁ですね」と突っ込む。

 失礼かもしれませんが、お笑いを含む芸能人が、ワイドショーなどで意向に添った発言をしている姿を何度も見てきているので、この発言には新鮮味を感じました。

 続けて新井氏が、「資本主義の中でメリットを感じるのは資本家たち、孫さんもその一人。その資本家が仕事を奪われる人に対し、『それは気持ちの持ちようだ』とか『もっと気持ちを明るくしたらどうだ』と言うのは無責任だと思う」「本来であれば、資本主義が続かなければ困るという立場の人たちが再分配の問題をきちんと解決しなければいけないし、次の新しい世の中を生きていけるような船を作らなければこの社会は持続していかない」と問い質します。
 それに対し太田氏が「それを孫さんに期待したいですね」と、「そうです」と新井氏も賛同。
 「逆に言うと、『新しい時代に真正面から取り組もうよ』と言わないのも無責任だと思う」と孫氏。

 ベーシックインカムや法人税の話しなどまだ続きますが、盛り上げるだけで時間切れという同類の番組が少なくない昨今、核心を衝いた番組を見た気がしました。

 孫さんに、私も期待します。


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