沙弥の繰り言(224)

 「否定と肯定」<ホロコーストの真実をめぐる闘い>(デボラ・E・リップシュタット著、山本やよい訳。ハーパーBOOKS)を読みました。

 この「本」は、「ホロコーストはなかった」と主張するイギリス人歴史家が、「あったこと」としてその検証を積み重ねているユダヤ人歴史学者を名誉毀損で訴え、イギリスの法廷で実際に争われた、その裁判の様子を被告だったリップシュタット氏が著したものです。
 文庫本で600ページほどのボリュームですので「一気に」という訳にはいきませんでしたが、読みやすい文章だったこともあり、私にしては速いペースで読むことができました。

 映画も製作されています。

 イギリスはアメリカと違い、訴えられたこと、このケースでは実際に起こったということ、を被告が証明しなければならないようです。
 原告の誤った主張を白日のもとにさらすには、万全の準備をしなくてはなりません。
 弁護チームや証人などへの費用も必要です。
 このあたりの具体的なことや、裁判の結果などについては「本」に譲ります。 
 
 私はこのようなことについて門外漢ですし、裁判を傍聴したこともありませんが、読んだことで「法廷内でやり取りされるのは、このようなことなのだ」ということが少し分かったような気がしています。

 この「本」を知ったのは、ラジオを聞き流しながら皿を洗っていた時だったでしょうか、「揉め事を解消する時のヒントになる」とか「慰安婦問題の対処に役に立つ」というような、多分こんな話しだったと思います、コメントが聞き取れたからですが、読み終え改めて思ったことは「真実のみが有効である」ということでした。
 この「本」の「あとがき」にもある「正義」、個々人が正しいと思うことを指すと解釈しました、をいくら振りまわしても、相手がそれに価値を認めているなら別ですが、揉め事は解消しないということも理解できました。
 
 確かに、「それはおかしい」と何度もこちらの「正義」を伝えても、お国柄が違えば聞く耳は持たないかもしれません。
 しかし「真実」はそうはいきません。
 これがラジオで話されていた、「ヒントになる」とか「役に立つ」ということだったのではないかと思っています。

 慰安婦問題は、ご存知のように文在寅政権が蒸し返そうとしています。
 これに対し安倍政権は「1ミリたりとも動かす考えはない」と突き放していますが、この態度は当然だと思います。
 「大人の対応を」などと発言するコメンテーターがいるようですが、そういう人は相手の「正義」を忖度しているか、あるいは、「真実」を知らないのかもしれません。
 
 「真実」を知るということの一つとして、産経新聞の「正論」「慰安婦合意の履行を求め続けよ」(2018年1月15日)は押さえておきたい事柄だと思います。
 「原因の多くは日本国内にあった」のところでは、誰がどんなことをして現在に至ったのかを、時系列で、4つの要因にまとめた記事になっています。
 後ろから鉄砲を撃っていた人たちがいるのです。
 また、他人のことを思いやる日本人の良さ、「正義」とも言える、が政治的に利用されてきたことにもやりきれなさが残ります。

 だからと言って、この風習は捨てたくありません。 
 「めりはりをもっと利かせ『人を見て法を説け』」ということでしょうか。

 
 


ホームに戻る

「信長とコンピュータ」へ

「近江商人とコンピュータ」へ

「日本の文化とコンピュータ」へ

「IT化でお客様を殖やす」へ